【TKCはオススメしない】悪いことは言わないのでTKCの会計ソフトは本当にやめた方がいいです。

インボイス

インボイス制度導入、電子帳簿保存法改正が話題の昨今、会計システムや顧問税理士について迷っている方も多いと思います。

私はTKC会員の税理士事務所のスタッフとして勤務しておりますが、去年くらいからTKCの会計システムについて、不満が爆発しそうなので筆を取らせていただいた次第です。TKCの会計ソフトはTKCと提携している税理士の顧問先しか利用することはできませんが、そのTKCと提携している税理士(TKC会員)がTKCの会計ソフトしか利用していない・顧問先に利用させないということではありませんがそのような税理士も多いです。私が勤めている事務所がTKCオンリーの事務所であるため、お客さんにはTKCの会計ソフトしか使わせていません。

中小企業の社長であれば、TKCの会計ソフトを利用するのは本当にやめた方がいいです。不満を漏らしているのは、顧問先だけでなく、いわんや、税理士事務所のスタッフである私をや。

マネーフォワードの方が100倍良い印象です。
TKCしか利用していない会計事務所に勤める私がやめた方がいいというくらいですから、そのオススメしない度合いは☆5つであります。以下にその理由を記します。

インボイス対応が最悪

令和5年10月1日からインボイス制度が始まりましたが、TKCの会計システムのインボイス対応は控えめに言って、最悪です。販売管理システムであるSX2というスタンドアロン型のソフトがあるのですが、これが特に最悪で、今でこそ多少は改善されましたが、請求書を発行(印刷)するのに、自由に自社の登録番号が印字できないという設計になっていました。

登録番号を「納品書」か「請求書」どちらかにしか印字できない

インボイス制度が始まってすぐ、TKCの会計システムは納品書or請求書にしか登録番号を表示できない設計になっていました。全くもって意味不明です。消費税法では、インボイスの要件を満たす書類は、納品書と請求書など、複数の書類を合わせてインボイスとすることができることが明白であり、Q&Aでもそのことははっきりと書いてあります。なのに何故か取引先ごとにインボイスとする書類を「納品書」にするか「請求書」にするか選ばないといけなくて、選ばなかった書類については登録番号が強制的に表示できなくなっていたのです。現在は不満の声が多く上がったことを受けて、改善されましたが、「インボイスとする書類」にしなかった「納品書」ないし「請求書」については「この書類はインボイスではありません」という、ウザい表示がされるようになりました。

その他にも、

・その月に売上がない請求書(繰越残高のみが表示される)には登録番号が表示できない

・インボイスとする書類の設定を変更するとそれまで入力していた納品伝票の単価が変わってしまう

・請求書には「明細型」、「合計型」、「鑑型」の3種類があるが、「明細型」にしか登録番号が表示できない

etc.

本当に登録番号を表示させる書類を印刷するだけで一苦労するし、TKCシステムの対応のまずさを書くと枚挙に遑がありません。

対応策として、住所の2行目などに、裏ワザ的に無理やり登録番号を表示させるしかない(部屋番号 T12345678901号室です!みたいな感じ)といった事態になりました。

SX2のみならず、めちゃくちゃ動作が遅いTKCのクラウドシステムについても基本的には同様です。

何はともあれ、インボイス制度導入によって、TKCの会計システムの悪いところが一気に露見されました。顧問先からだけでなく、顧問先の取引先の税理士から問い合わせが来ることもあるし、最悪です。

TKCの社員が何もしてくれないし、傲慢

不具合の対応が遅すぎる

当然、上記のようなシステムの不具合(というか元々の設計が最悪なので不具合でもなんでもないのですが)が発生すると、TKCの社員や我々税理士事務所に電話がかかってくるのですが、TKCの担当者が自社のソフトのことを知らなすぎます。その担当者にもよるのでしょうが、何故か私の方がTKCの社員よりもソフトの操作や不具合について詳しいのです。不具合についてはヘルプデスクのコールセンターの方たちは非常に詳しいので電話で相談すれば分かりやすく教えてくれて感謝しますが、受付担当に電話で質問を投げかけてから、システム担当者からの折り返しの電話が無茶苦茶遅く、比喩でも何でもなく、待っていると余裕で日がくれます。この間電話した時は「折り返しの回答は4時間後になります」と言われました。このような返答を受けることはザラにあって、4時間後って夜の9時やんけ・・・とげっそりすることも多々あります。インボイス対応で忙しいのはわかるけど、ヘルプデスク新しくなったって聞いたんだけどな。

金だけは取るが何もしれくれない

インボイス制度対応に伴うシステムの不具合(というか設計に欠陥があるのだが)が発生した際に売上伝票(納品済みの商品単価)が変わってしまい、卸売業のお客さんに多大なる迷惑をかけてしまったことがあり、それまで入力していた売上伝票を100以上商品単価を修正し直さなければならなかったのですが、その時もTKCの社員は少し謝ってくれた程度で、何も手伝ってくれませんでした。何なら早く帰りたいオーラを全面に出していて社長も怒りを通り越して呆れていましたし、顧問先は何も悪くないし月末で請求書をあげなければならなかったため、私が夜遅くまで納品書と照合しながら細い作業を行う羽目になってしまいました。

IT導入補助金もTKCのソフト導入で利用できますが、支援事業者はTKCと会計事務所です。IT導入補助金はパソコンやレジ購入、会計ソフト導入費用について一定割合補助金がもらえる制度です。(株)TKCが幹事社なのですが、代金の支払いは本来振り込みしか認められていない(後日その支払いの何割かが補助金として支給される)にもかかわらず、現金払いの印紙が貼付される枠が印字された請求書をよこしたりして危うく補助金が申請できなくなるところでした。現金で払ってしまったので一回返金してもう一度振り込む形になったのですが、最初「返金できかねます」みたいなことを言ってきたのでこいつら頭大丈夫か?と不安になってしまったほどです。

IT導入補助金ならTKC以外を利用しないと損します。

IT導入補助金はパソコンの購入も補助の対象で代金の半分が補助金で賄えますが、TKCのソフトを利用する場合は、TKCが斡旋するパソコンを買わなくてはなりません。富士通や東芝のPCが対象商品でスペックやサイズ、デスクトップ/ノートなどにより異なり商品がいくつかありますが、TKCが見積もりを出してくる値段が高いです。ものによっては同じパソコンでも、その辺の家電量販店や価格ドットコムで調べて買った方がTKCから補助金をもらって買うよりも安い場合がありましたいやいや、補助金の意味ないじゃないですか。TKC曰く、TKCから買うと余計な機能やオプションが入っていないので使いやすいし長く持つ、とのこと。多分これは本当ですが、その真意は推して知るべし。Officeなどの必要最低限な機能しかパソコンに備わっていないので、ネットワーク設定やプリンタ設定、メール設定などTKCもしくはTKCの提携企業にお金を払ってやってもらうことになります。保守契約とかも結ばされます。そしてこれらの費用は補助金の対象ではありません。補助金の対象はあくまでパソコン本体の価格です。てかTKCの社員はパソコンの設定に金とる割にはパソコン詳しくない人でも出来るようなことしかやってくれないのは何故なんだ。

もちろん返金もしない

適格請求書を発行するのに無駄にハードルが高いTKCのソフトですが、ソフト専用の用紙もサプライ事業部(納品書、請求書など)で購入することができます。インボイス対応に備えて、早めに準備を始めていた会社がありました。ソフトもTKCのものに変えて、請求書も専用の用紙に印刷するためにTKCから購入しました。しかしインボイス制度が始まってみると、その専用の用紙にインボイスが印刷できないことがわかったのです。そんな話は一切聞いていなかったし、これまでのトラブルから教訓を得ていた私は何度もちゃんと印刷ができるかを確認していました。で、当然適格請求書を発行するために買ったのに印刷できないとなるとそんな大量の用紙はゴミ同然となるので返金を願い出たのですが、一度購入して中身を開けたら少しでも使うと返金できないと言われてしまう悲劇。そりゃ印刷できると思って印刷してんだから少しは消費するだろうよ。最初サンプル的な用紙を何枚かくれと言ってもそれも無理だと言われたしその時から悪い予感はしてた。全てにおいてきな臭いんだよ、TKCという会社は。普通に考えて返品させろよ。そんで返金しろよ。

電子帳簿保存法についても同様で、スキャナーとTKCシステムを連携させるやり方を教えてもらおうとして顧問先にTKCの人と出向いたのだが、打ち合わせにはなかったのに、急に料金がまあまあかかるクラウドシステムの宣伝をし始めて(そのシステムはその会社には必要ないということを伝えていたにも関わらず)、その会社の人間に説教されてました。なんでそんなことをするのかな?

とにかく融通がきかない・使いづらい

不便すぎて逆にすごい

TKCの会計ソフトは、とにかく融通がききません。基本的に税理士が毎月チェックして、月次決算を行い、毎月数字をバシっと固めていくっていう考え方のためそういうシステム設計になっているのですが、毎月毎月、適時に正確な決算が出来ないケースも往々にしてあります。例えば請求書なんて翌月の後半にしか来ないなんてこともありますし、取引先との兼ね合いもあります。月次決算(月次更新)を完了させないと3ヶ月ないしは4ヶ月先の取引がパソコンに入力できません。言い換えれば、更新をしてしまえば4ヶ月前の数字は訂正できません。この点に関しては金融機関や課税庁側が信頼出来る会計ソフトであると認定していると一部では言われていますが、私の知り合いの銀行員の多くはTKCとTKCを使っている税理士事務所が嫌いだそうです(私がTKCの悪評を吹聴した訳ではありません)。多分支店長レベルの行員も好ましい印象持っている人は別に多くないんじゃないかな。TKCの会計事務所は「企業防衛」とか言ってやたらと大同生命をすすめるのですが、これを嫌う銀行員が多いということもありますが。

不確定な要素があると、月次決算が完了しないので、ちゃんとした試算表が出力できません(些細なものであれば、「仮払金」や「仮受金」として処理すればいいです)し、間違えて入力した仕訳はいったんマイナス計上して正しい仕訳を計上しなければなりません。また、2重に計上してしまった取引は削除ができませんし、これもマイナス計上することになります。これは後で見返してみると非常にわかりづらく難解な取引となります(見づら過ぎて税務調査の際調査員が困っていて売上をチェックするの諦めていたことがあったので逆にメリットにもなり得ますが笑)。さらに、マイナス計上する際に日付の初期値が直近の日付になるため、これも間違ってしまいがちで、マイナス計上した取引を削除することができません。マイナス計上のマイナス計上をする羽目になり、訳が分からなくなります。

自分だけなく、取引先、税務署その他書類の提出先に迷惑がかかる

とにかく、法令に準拠しようとするあまり、融通が効かないというだけでなく、非常に使い勝手が悪く、場合によっては取引先や税務署に迷惑をかける可能性が非常に高い書類が出来上がります。銀行に提出する書類だけでなく、公共団体や自治体に提出する書類や会社の会議で使う資料、あらゆる場面でTKCの会計ソフトで作成できる書類は向いていません。前年同月期の数字を見たい場合、その数字が何らかの理由で正しくない時は翌月もしくはもっと先の時点でマイナスされる訂正が入るため、ちゃんと比較検討ができません。つまり、過去のデータを遡及して数字が出来ないということは、正確な前年対比ができないということであり、この点はTKCの会計ソフトの致命的なデメリットです。その他の弊害もたくさんあります。

もっというと、この遡及処理不可能な機能は決算書や税務申告書を作る時も非常に煩わしいです。事業概況説明書の裏面を作成する時や、個人の事業所得の青色決算書の月別売上高の入力する際にも鬱陶しいです。標準の勘定科目も個人的には好きではなくて、「支払手数料」や「販促費」がありません(変更はできますが)。いや、「支払手数料」くらい標準装備してろよ。

従業員にも迷惑がかかります

不具合が発生した際のアップデートも後手後手の対応で最悪なのですが、年度の更新(アップデート)も非常に遅いです。例えば今であれば、年末調整のシステムが更新(配信)されるのも非常に遅く、うちの顧問先以外ではもう既に扶養控除申告書などや保険料控除申告書などの書類が社員に配られ、準備し、提出できる状態になっているにもかかわらず、うちの顧問先はTKCの年末調整から出力される書類を待っているってのも毎年のことです。顧問先からまだですか?と言われることが多すぎて本当に申し訳ない気持ちになる。少なくとも11月入ったばかりの時点では帳表を出力できるようにしてほしい。インボイス対応も遅くて不具合ばかり、年末調整も遅い。剰え、電子帳簿保存法に至っても遅いし営業担当者が全然理解していない。

結論:TKCシステムを導入するのはやめた方がいい

随分前に満を持してリリースされたクラウドシステムの動きが遅すぎるとか、TKCグループが宗教みたいでキモいとか、そもそも会計ソフトの経理担当者向けのマニュアルが存在しない(ありえないですよね)など、まだまだTKCに対するヘイトは書きたりませんが、駄文を書きすぎてしまいました。とにかく、あまりにもTKCが原因のトラブルが多すぎるし、システムに関してはここまで使いづらく設計できるのが逆にすごいな、と思えるレベルです。

TKCの会計ソフトを税理士に勧められて導入しようか迷っている中小企業、個人事業主はやめるべきです。そして、その税理士がTKCのソフトしか認めない(こういうTKCと一蓮托生な税理士事務所はたくさんあります)というのであれば、違う税理士を探すべきです。

小規模な個人事業者、ことさら免税事業者であれば自分一人でも帳簿を作り青色申告を行うことは以前よりも簡単になっていると思います。小規模な個人事業主に弥生会計はかなりおすすめです。

インボイス制度が導入されてからは難しく思えるところも増えたと思いますが、商工会議所などから記帳指導を受けることもできますし、電子帳簿保存法も、小規模事業者や若い経営者であればそこまで負担に感じることはないのでは、と思います。

コメント

  1. だめだこりゃ より:

    税理士有資格者です。
    私も独立前にTKCは使っておくべきだろうと、TKC会員事務所に入社しましたが、システムが色々と酷すぎて絶対に使っちゃいけないと分かりました。
    これからはマネーフォワードなどのクラウドソフトがシェアをあげると思いますが、マイスタークラウドの出来も酷いもんですね。

    • 簿多丸 簿多丸 より:

      コメントありがとうございます。この間もクラウドでかなり重大な不具合発生してましたもんね。これから始まる電子帳簿保存法に関しても何かしらのトラブルが発生しそうで戦々恐々としています。

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