【消費税法】税務調査で狙われやすい会社の特徴と消費税に関する実際の指摘事例

インボイス

今回は、税務調査に入られやすい会社の特徴や、税務調査で実際に指摘された消費税に関する事例について簡単に書いてみました。税務調査対策や消費税に関する経理事務に役立てていただけると幸いです。

税務調査に入る会社の選定について

税務調査に入られやすい会社の特徴については、税理士非関与、白色申告を行っている会社がまず挙げられると思います。また、元国税調査官であり、税理士・公認会計士の村上博隆さんという方の「経験がなくて不安な税理士・調査官のための税務調査を今一度ちゃんと考えてみる本」という本によると、税務署側が調査に入る際の選定基準について、

・決算書の数値に異常値が認められる

・個人貸付金がある

・設立3期目

などがあげられるそうです。その他にKSKシステムを用いて判定する担当者もいるようで、会社の選定は税務署の担当者によって十人十色だそうです。

この書籍は元税務署で勤務していた税理士の方が書いていることもあり、課税庁側・税理士側双方の視点から税務調査に対する向き合い方や準備の仕方などが書いてあります。税務調査を行う側の苦悩や狙われやすい個別論点についても深掘りされており、なかんずく消費税法についてもかなりの章を割いて説明がなされていますので、試験勉強にも役立つこと請け合いとなっています。オススメ書籍。

消費税について実際にあった指摘事項

実際に経験した、又は事例を聞いた消費税にまつわる税務調査の指摘事項を書いていきたいと思います。

書類の保存の不備

クレジットカード決済による経費の請求書・領収書を保管しておらず、カードの明細のみを保存している会社が、書類の保存していなかった分の経費につき仕入税額控除が否認されたことがありました。ネット通販の買い物の証憑書類ですが、経理担当者・代表者ともにパソコンに疎く、書類のPDFのダウンロードの仕方がわからなかったということです。また、代表者しかログインできないインターネットのECサイトであったがゆえに経理担当者がログインできず、代表者がめんどくさがって書類を用意しなかったというケースや、過去1年間しか注文履歴を訴求することが出来ないため、税務調査までに書類を具備できずに消費税の税額が増額してまったケースもあります。Amazonビジネスなら過去の書類は余裕を持ってダウンロードできると思います。

しかし、書類がないにも関わらず仕入税額控除が認められたケースもありました。卸売業の会社でしたが、「取引先の会社が、書類がちょうど今必要な状況にあるため仕入明細書が今現在ここにはない」といった理由で、この言い分がなぜか通っていました。やむを得ない理由がある場合に該当するとは思えませんが、他に調査官が提示を求めた書類についても経理担当者が「ああそれどこにあったっけなぁ、ちょっと探してきます」といって一つずつ倉庫に行って時間をかけて持ってくるので時間がなくなり調査官が諦めた、という風にも見えました。税務調査においては要領が悪いフリをして、一つ一つのことに無駄に時間をかける、というのは調査官を多少なりとも困らせることに繋がります。

上記はインボイス制度導入以前の事例ですが、インボイス制度下の現在は保存すべき書類の規定がさらに厳格化されています。書類の記載事項などにも注意しましょう。

簡易課税制度を選択している事業者の課税標準について

得意先から売上と経費が相殺されて入金される取引について、入金額をもって課税売上げに計上していた会社があったそうですが、簡易課税を選択しており、課税標準が実際に計上されるべき金額より相殺された経費分過小となっていたため指摘を受けたそうです。売上と経費を両建てで、総額で計上されていることを確認することの重要性を再認識した事案です。

本則課税でも注意が必要

特に手数料が差し引かれて入金されるケースなどは注意が必要です。クレジットカード手数料が差し引かれている場合は本則課税の場合、手数料が非課税仕入れとなるため課税仕入れとはなりません。純額で売上を計上しているケースではこの場合も否認されうると思います。金額的には大きいものではないと思われるためか、税務調査で指摘されたという話は聞いたことはありませんが。

経費の個人的支出

普通に代表者の個人的な支払いを課税仕入れとして計上していたケースです。何をか言わんや、という感じですが、請求書の宛名を会社名にしてもらっていても、内容に家の浴室の水道の修理とか書いてあったらダメです。会社や社宅なら課税仕入れでいいと思いますが。

まとめ

税務調査に入られやすい会社として、税理士が関与していない会社や白色申告を行う会社が挙げられ、税務署側の調査対象の選定基準には、決算書の異常な数値や個人貸付金、設立3期目などがあります。消費税の実際の調査では、書類の保存不備や、売上の純額計上による課税標準額の過小計上、経費の個人的支出などが指摘されました。特に、書類の保存はインボイス制度導入後さらに厳格化されており、適切な管理が重要です。

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