会社を廃業し、たたむ際の道筋:解散から清算結了までの手続きと注意点

税務

今回は、会社をたたむ際の手続きについて簡単に書いてみます。

会社を作るのは、比較的簡単ですが、休眠という選択をとらず、完全に消滅させるには相応のコストや労力がかかります。会社の解散と清算は基本的には司法書士と税理士にお願いするケースが多いと思いますが、手続きの中で、税理士が行う決算書作成や各種の確定申告については自分でやるのはよっぽど知識がある方でないと厳しいものがあると思います。同様に、司法書士が請け負う業務に関しても自分で行うのはかなりハードルが高いですが、中には自分で全て行ったという人もいるようです。

会社解散から清算結了までの手続きとポイント

会社を解散し、正式に清算を結了するまでには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。このプロセスは、基本的に「解散」→「清算」の流れで進み、最低でも2ヶ月以上の期間が必要です。それぞれのステップには、法人登記や確定申告といった法的手続きが求められます。会社解散から清算結了までの具体的な手順や、注意すべきポイントについて簡単に解説していきます。


1. 会社解散のステップ

1-1. 株主総会での解散決議

まず、会社を解散するためには、株主総会で特別決議を行う必要があります。この特別決議は、発行済株式の過半数を持つ株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要です。また、解散の決議と同時に、清算人を選任します。清算人は会社の財産や債務を整理する役割を持ち、解散後の業務を担当します。

1-2. 解散登記と清算人選任の登記

解散が決まったら、解散日から2週間以内に法務局で「解散登記」と「清算人選任登記」を行います。この登記には、株主総会の議事録や定款、清算人の就任承諾書などの書類が必要です。登記にかかる費用は以下の通りです。

  • 解散登記の登録免許税:30,000円
  • 清算人選任登記の登録免許税:9,000円

さらに、司法書士などに手続きを依頼する場合、追加の手数料が発生することがあります。

1-3. 税務署などへの解散の届出

解散後、税務署や地方自治体、社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署などへ解散の届出を行います。特に税務署への届出が重要で、解散事業年度における確定申告も行わなければなりません。この確定申告は、解散日から2ヶ月以内に行う必要があります。


2. 清算の流れ

2-1. 財産目録と貸借対照表の作成

解散後、清算人は会社の財産を調査し、財産目録貸借対照表を作成します。これを株主総会で承認してもらい、清算作業を開始します。

2-2. 債権者保護手続き

清算人は、債権者に対して公告を行い、債権を申し出るよう通知します。この債権者保護手続きは、官報での公告が必要で、少なくとも2ヶ月以上の期間を設けて債権者からの申し出を受け付けます。官報での告示は本来は公告する必要がありますが、負債がない場合は公告の対象がいないため、不要とも言われており、実務上はしないパターンも多いのかもしれません。

2-3. 残余財産の確定と分配

清算作業が進むと、会社の資産や債務が整理されます。清算人は、売掛金などを回収し、未払いの債務を支払います。もし残余財産が発生した場合は、株主に分配しますが、債務超過の場合は残余財産は発生しません。


3. 清算に関わる個別の留意点

清算の際には、以下の具体的な点にも注意が必要です。特に、資産の処分や売却は、解散事業年度と清算事業年度の決算状況に応じて適切に行うことが大切です。

  • 保有資産の処分・売却:簿価が1円に減価しているものもあると思いますが、まだ価値がある資産は、処分や売却時期を慎重に検討する必要があります。また、有価証券を売却する際、売却益・売却損が発生する可能性があります。株価の変動や会社の決算状況を考慮し、解散事業年度か清算事業年度のどちらで売却するかを決定します。
  • 倒産防止共済など保険・共済の解約:加入した窓口に連絡して、書類を通して解約の手続きをします。解約による掛金の返還が益金に計上され、法人税に影響を与えるため、解散事業年度か清算事業年度のどちらで処理するかを判断します。
  • 借入金の返済:金融機関などからの借入れについて、返済する手立てを考える必要がありますが、上記の保有資産の売却や保険の解約によって返済資金を確保することができます。

4. 清算結了のステップ

4-1. 決算報告書の作成と株主総会

清算作業がすべて終了すると、清算人は決算報告書を作成し、株主総会でその報告書の承認を受けます。承認を受けた後、清算は正式に結了します。

4-2. 清算結了の登記

清算結了の登記は、株主総会での承認から2週間以内に行います。この登記には、株主総会の議事録や決算報告書を添付し、清算結了登記を法務局に申請します。清算結了の登録免許税は2,000円です。

4-3. 税務署などへの清算結了届出

最後に、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場に対して清算結了の届出を行います。これで法人の解散・清算手続きは完了します。


5. 解散・清算にかかる費用

会社を解散・清算する際には、いくつかの費用が発生します。以下は、その主な費用項目です。

  • 解散登記と清算結了登記の税金
    • 解散登記の登録免許税:30,000円
    • 清算人選任登記の登録免許税:9,000円
    • 官報公告費用:約41,000円(本来は官報で公告する必要がありますが、負債がない場合は公告の対象がいないため、不要とも言われています。)
    • 清算結了登記の登録免許税:2,000円
    • その他、2回決算を行うため、法人税、消費税、地方税の納税が必要
  • 司法書士や税理士の手数料(会社の規模等によりますので参考まで)
    • 司法書士手数料:約8〜12万円
    • 税理士手数料:約10〜30万円

まとめ

会社の解散から清算結了までの手続きは複雑で、解散・清算に関わる登記や確定申告は、それぞれの期限を守り、必要な書類を揃えて行うことが大切です。法人税や残余財産の処理に関しては、会社の状況に応じた適切な判断が求められますので、解散・清算をスムーズに進めるためには、司法書士や税理士と連携し、専門的なサポートを受けることが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました