源泉所得税の納付を忘れた時の対処法

税務

たまに、会社の経理担当者や社長、個人事業主から、「従業員から預かった源泉所得税の納付を忘れてた!どうしよう・・・」と相談を受けることがあります。

そこで今回は源泉所得税の納付を失念してしまった時にどうすれば良いかと、その他の源泉税の注意点について書いてみます。

源泉所得税とは

源泉所得税とは、会社(個人事業主含む)が従業員などに給料を払う際に従業員さん本人が納めるべき所得税をあらかじめ天引きしておき、その従業員さんの代わりに会社が税務署に納める税金です。

住民税でも同様の制度があり、こちらは「特別徴収」といいます。特別徴収は今では多くの自治体で義務付けられています。

また、徴収する所得税は従業員だけでなく、税理士、社労士、司法書士などの報酬も当てはまります。請求書に源泉所得税が引いて金額が記載されていると思いますので、こちらは徴収もれはないでしょうが、従業員に対する源泉所得税は業務委託契約や外注費でないかぎり、基本的に徴収する義務が会社にはあります。

源泉所得税の納付を忘れたらどうするのか

気づいた時点で納付する

万が一、源泉所得税の納付を忘れていた際には、気づいた時点で早く納付するにしましょう。これが基本です。納付書は忘れていた人のみの人数、支給額、税金を書いて納付すればいいです。また、金銭的に余裕がなく、支払えない場合は税務署に電話して相談すればオッケーです。

「納付を忘れていた」という相談をされることがありますが、税額が一万円未満で、(多分1年以内)に税金の納付忘れをしていなければ、あとで不納付加算税などの追徴金を課されることもないです。金額が大きく、期日から納付した日までの間が長いと追徴課税されてしまうので要注意です。

常時使用する人数が10人未満の場合ですと、納期の特例という制度が設けられており、届出を出すことによって、本来毎月納付しなければならない源泉所得税を半年に1回ずつ(1〜6月分を7月10日まで、7〜12月分を1月20日まで)の納付にすることができます。

その他の対処法

裏ワザ的な方法ですが、忘れていた税金を次の納付の分に紛れ込ませるという方法もあります。特に司法書士や弁理士などの報酬は毎月あるわけではないので納付書に金額を記載するのを忘れがちです。その人たちの金額を次の納期の源泉所得税にしれっと入れてしまうのです。わざわざ納付書を作成するのが億劫で僅少な金額であればこの方法をとっている会社もあると思います。

でも決算を跨ぐと預り金の内訳が不自然なので税務署に解ってしまうケースもあります。例えば3月決算であれば2月以前(納期の特例であれば12月以前)の源泉徴収額が勘定科目内訳明細書に記載されていると納めていないことがわかってしまいます。

以前、給料の源泉は納めているが、税理士への報酬の源泉所得税を5年くらい全く納めていない会社がありましたが、何故か税務署からは何の督促も来ないということがありました。そしてその間、その税理士は確定申告し、所得税が普通に還付されていました。払っていないのに還付!!何ということでしょう。まあでもどちらかを優先しなければならないというのであれば従業員の所得税ですよね。税務署も従業員の源泉は納められているってことで何も催促しなかったのかなぁ。

その他の注意点

司法書士などの源泉

司法書士などの源泉所得税は忘れやすいですが、納付書を記載する際にも注意点があります。それは司法書士などに支払った報酬があり納付すべき源泉所得税があった場合は、納付書の摘要欄にと記載するという点です。司法書士以外にも土地家屋調査士、海事代理士に対する報酬が合った場合にも同様の記載が必要となります。通常士業の方に対する報酬は支給額に10.21%を乗じて算出しますが、これらの方に対する源泉所得税は、支払報酬に対して1万円を引いた後に10.21%を乗ずる形で算出しますので、納付書に記載の報酬額に対して単純に10.21%を掛けても計算が合わないため、このような摘要欄の記載が必要になっているものと思われます。

ちなみに、この摘要欄にを書き忘れていたとしても特に罰則はないものと思われます。また報酬金額は100万円を超えた部分は10.21%でなく20.42%となります。

税理等の報酬には以下のものが含まれます。(国税庁HPより)

突発的な支払いは忘れやすいので注意

ちなみに法人(税理士法人など)に対しては源泉徴収義務はありません。

繰越の超過額の失念に注意

年末調整などで従業員への還付金額が多い場合、1月の源泉所得税の納付額が0円になることがあります。この際にも納付税額が0円であることを税務署に知らせないといけないので、電子申告していないのであれば税額0円の納付書の2枚目を税務署に提出する必要があります。あの納付書は納付書兼申告書なのです。

また、引ききれなかった還付税額は、次回以降の納期の源泉所得税からも控除することになるのですが、これを忘れやすいので注意です。特に納期の特例の場合には年末調整からかなり時間が経っているため、忘れやすいので注意です。

給料を支払う際にちゃんと源泉徴収をする

小さい個人事業主ではあまり起こり得ないと思いますが、以前税務調査で給料から源泉所得税を引いていないことを指摘され、会社が追徴課税されたことがありました。源泉の納付忘れでなく、そもそも天引きしていないことが不味かったのですが、本来扶養控除申告書を提出されている従業員に対しては、月額8万円程度あれば所得税を天引きする必要はありません。しかし、扶養控除申告書を会社に出していない方は、税額表では乙欄課税となるため、支給額が少なくても所得税を天引きしなくてはなりません。また、扶養控除申告書を提出している甲欄の方よりも税額を多めに徴収しなければなりません。税務署から余計な税金を払えと言われないようにもこの源泉徴収をしっかりやるようにしましょう。

今回の記事はこれで以上です。納期の特例の納付期限7月10日が迫ってまいりましたので、書かせていただきました。源泉所得税の他にも社会保険の算定基礎届、労働保険の申告なども7月10日までなのでこの時期は意外と忙しいですよね。

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