【税理士試験】輸出物品販売場についてまとめてみました【消費税法】

税務

税理士試験において近年改正項目があり、最近は出題予想があるにかもかかわらず全然出題されない輸出物品販売場について概要と試験対策についてまとめてみました。

輸出物品販売場とは?


輸出物品販売場、つまり一般的に「免税店」と呼ばれるのは、外国人旅行者などが日本から持ち出すことを前提に、消費税なしで商品を購入できる店舗のことです。

なぜ消費税が免税になるのか?

消費税は、国内で消費される物品やサービスに対して課される税金です。しかし、輸出物品は国内で消費されるわけではないため、消費税の対象外となるのです。輸出物品販売場では、購入者が商品を日本国外に持ち出すことを証明することで、消費税を免除してもらうことができます。

輸出物品販売場を利用できるのは誰?

・外国人旅行者: 日本に一時的に滞在している外国人観光客などが一般的です。
・日本に居住していない日本人: 日本に永住権を持たない日本人など。

免税対象となる商品

・一般的に購入される商品: 化粧品、電化製品、食品など、広く一般的に購入される商品が対象となります。
・日本製の商品: 日本のブランド品や工芸品なども人気です。

免税の手続き

・パスポートの提示: 購入時にパスポートを提示し、外国人の身分を証明します。
・輸出証明: 商品を日本国外に持ち出すことを証明する書類を作成します。
・税関での手続き: 出国時に税関で、購入商品が日本国外に持ち出されたことを確認する手続きが必要です。

輸出物品販売場の種類

  • 一般型輸出物品販売場: 店舗自体が免税手続きを行います。
  • 手続委託型輸出物品販売場: ショッピングセンター内などにある店舗で、専門の免税手続き事業者が手続きを代行します。
  • 自動販売機型輸出物品販売場:自動販売機によって免税販売手続きが行われる新しいタイプの免税店

輸出物品販売場を利用する際の注意点


・購入金額: 免税となる購入金額には上限があります。
・持ち出し制限: 一部の商品には持ち出し制限がある場合があります。
・不正利用の防止: 免税制度の不正利用を防ぐため、厳格な手続きが求められます。

その他輸出物品販売場に関する事項
・日本のどの店舗で免税購入できる?
→主要な都市の空港や、観光地にある百貨店や専門店などで利用できます。
・免税手続きはどのくらい時間がかかる?
→店舗や混雑状況によって異なりますが、数分から十数分程度かかる場合が多いです。
・免税で購入した商品を日本国内で使うことはできる?
→原則として、日本国内での使用はできません。(令和6年TACの全国公開模試で出題あり)
・免税で購入した商品をプレゼントすることはできる?
→プレゼントする場合も、受け取る人が日本国外に持ち出す必要があります。

一般型輸出物品販売場について

一般型輸出物品販売場とは、いわゆる免税店の一種で、その店舗を経営する事業者自身が、販売場において直接免税販売の手続きを行うタイプの免税店です。

一般型輸出物品販売場の特徴
・事業者による直接手続き: 免税手続きは、店舗の従業員が直接行います。
・店舗の自由度が高い: 商品の選定や販売方法など、店舗の裁量で自由に運営できます。
・大規模な店舗が多い: 百貨店や大型専門店など、比較的規模の大きな店舗が多い傾向にあります。


一般型輸出物品販売場のメリットとデメリット

メリットデメリット
店舗の自由度が高い 免税手続きに時間がかかる場合がある
商品ラインナップが豊富人件費がかかる
顧客へのきめ細かい対応が可能 ・手続きが複雑な場合がある


一般型輸出物品販売場と他のタイプの免税店の違い
免税店には、一般型輸出物品販売場の他にも、手続委託型輸出物品販売場などがあります。

手続委託型輸出物品販売場: ショッピングセンター内などにある店舗で、専門の免税手続き事業者が手続きを代行します。
一般型輸出物品販売場を利用する際の注意点
・パスポートの提示: 購入時にパスポートを提示し、外国人の身分を証明します。
・輸出証明: 商品を日本国外に持ち出すことを証明する書類を作成します。
・税関での手続き: 出国時に税関で、購入商品が日本国外に持ち出されたことを確認する手続きが必要です。
一般型輸出物品販売場の今後の展望
近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、免税店はますます重要性を増しています。一般型輸出物品販売場も、より多くの外国人観光客に利用してもらうために、商品のラインナップ拡充やサービスの向上などが期待されています。
一般型輸出物品販売場は、店舗の自由度が高く、顧客へのきめ細かい対応が可能なのが特徴です。しかし、免税手続きが複雑な場合があるなど、デメリットもあります。免税店を利用する際は、それぞれのタイプのメリット・デメリットを比較し、自分に合った店舗を選ぶことが大切です。

自動販売機型輸出物品販売場について


自動販売機型輸出物品販売場とは?

2020年の税制改正により新たに導入された「自動販売機型輸出物品販売場」は、従来の免税店とは異なり、人が介在することなく、自動販売機によって免税販売手続きが行われる新しいタイプの免税店です。

なぜ自動販売機型輸出物品販売場ができたのか

・外国人観光客の利便性向上: 人とのやり取りが不要になり、よりスムーズな買い物体験を提供できます。
・人件費削減: 人員配置が不要になるため、事業者のコスト削減につながります。
・24時間営業の可能性: 人員配置の制約がないため、24時間営業が可能になる場合があります。

自動販売機型輸出物品販売場の特徴

・自動販売機による免税手続き: 自動販売機にパスポートをかざすなどして、本人確認と輸出証明を行います。
・限定された商品: 食品や化粧品など、比較的持ち運びが容易な商品が中心となります。
・厳格な管理: 不法な利用を防ぐため、国税庁の厳しい審査と管理が求められます。

自動販売機型輸出物品販売場のメリットとデメリット

メリット デメリット
外国人観光客の利便性向上取り扱える商品が限定される
人件費削減初期投資額が高い
24時間営業の可能性機械トラブルのリスクがある
非接触で安全不正利用のリスクがある


自動販売機型輸出物品販売場を利用する際の注意点

・対応する自動販売機: 全ての自動販売機が対応しているわけではありません。対応している自動販売機に表示があります。
・購入できる商品: 食品や化粧品など、比較的持ち運びが容易な商品が中心です。
・パスポートの提示: 必ずパスポートを提示し、本人確認を行ってください。
・税関での手続き: 出国時に、購入商品が日本国外に持ち出されたことを税関で確認する必要があります。

自動販売機型輸出物品販売場の今後の展望

自動販売機型輸出物品販売場は、まだまだ新しい制度であり、今後さらに発展していくことが期待されます。より多くの商品を取り扱えるようになったり、様々な場所で設置されるようになる可能性もあります。
自動販売機型輸出物品販売場は、外国人観光客の利便性向上や事業者のコスト削減に貢献する新しいタイプの免税店です。しかし、まだ課題も残っており、今後の発展が注目されます。

手続委託型輸出物品販売場について


手続委託型輸出物品販売場とは、ショッピングセンターや百貨店など、複数の店舗が集まる商業施設内に設置された免税販売場の一種です。このタイプの免税場では、免税手続きを専門の事業者に委託していることが特徴です。

従来の免税店(一般型輸出物品販売場)との大きな違いは、免税手続きを誰が担当するかという点です。一般型では、店舗自身が免税手続きを行いますが、手続委託型では、専門の事業者がその業務を請け負います。

なぜ手続委託型が選ばれるのか?
・専門性の高さ: 免税手続きは、消費税法や出入国管理法など、専門的な知識が必要となります。専門事業者は、これらの知識を豊富に持ち、迅速かつ正確な手続きを行うことができます。
・多言語対応: 外国人観光客は様々な国から訪れるため、多言語対応が求められます。専門事業者は、多言語対応の体制を整えており、外国人観光客の不安を解消し、スムーズな買い物体験を提供できます。
システムの活用: 専門事業者は、免税手続きを効率化するための専用システムを導入していることが多く、迅速かつ正確な処理が可能です。
・コスト削減: 店舗側では、免税手続きに必要な人員やシステムの導入コストを削減することができます。


手続委託型輸出物品販売場の手続きの流れ
①外国人観光客が商品を購入: 店舗で商品を購入します。
②免税手続きの依頼: 店舗の店員が、免税手続きを専門事業者に依頼します。
③専門事業者による手続き: 専門事業者は免税手続カウンターで、外国人観光客のパスポートなどを確認し、免税手続きを行います。
④商品のお渡し: 手続きが完了すると、商品が外国人観光客に渡されます。


手続委託型輸出物品販売場のメリットとデメリット

メリットデメリット
専門的な知識と経験を持つ専門事業者が手続きを行うため、正確かつ迅速な対応が可能専門事業者への手数料が発生するため、コストが増加する可能性がある
多言語対応が可能で、外国人観光客へのサービスの質が向上する店舗側の自由度が制限される場合がある
システムの活用により、効率的な手続きが可能となる専門事業者への依存度が高まる

臨時販売場について

輸出物品販売場における臨時販売場とは、通常の免税店の店舗とは異なる場所や期間において、免税販売を行うことを指します。例えば、観光地のイベント会場や、期間限定のポップアップストアなどで、免税品を販売するケースが考えられます。

具体例
観光地でのポップアップストア: 観光地で期間限定のポップアップストアを開設し、外国人観光客に免税品を販売する。
クルーズ船内での販売: クルーズ船内で免税品を販売し、船旅を楽しむ外国人観光客に購入してもらう。
大型イベント会場での出店: 大規模なイベント会場に出店し、多くの外国人観光客に商品をアピールする。
今後の展望
近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、免税販売の需要は高まっています。輸出物品販売場における臨時販売場は、この需要に応える新たなビジネスモデルとして、ますます注目を集めると考えられます。

税理士試験対策(届出・要件など)

大原の理論テキスト、問題集、答練などを参考に、以下に必要な要件などをまとめてみました。

共通要件

・現に国税の滞納がないこと

・輸出物品販売場の許可を取り消されその取消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として不適当とみられる事情がないこと

・電子情報処理組織を使用して情報の提供をする必要がある。電子化に対応していない事業者は承認送信事業者が購入記録情報を提供することも出来る(特例)

以下は必要な手続、要件の許可区分ごとにリストになります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました